ちぇーんじ♪・・・その一


「うわわわわ〜〜〜〜〜〜〜!!」
「!?・・・秀作!!」

鐘つき場から聞こえた叫び声に、慌てて上をみると、あろうことか人が降って来た。
しかも、それが自分の恋人なのを確認した時の驚きといったら・・・・・!

利吉は素早く駆け寄ると、何とか彼を受け止める。
しかし、不自然な体勢だった為、二人してその場に倒れこんでしまった。
ぶつかる額。・・・・・ちょっと星がとんでみえた。
おまけにお花畑が見えた気がして、利吉は慌てて頭を振る。
鈍い痛みがはしる額を押えながら、体を起した。

「痛・・・・・っ、大丈夫か?!秀作?」
「イタタ・・・・・はい、平気です。すみません利吉さん・・・」

そう言いながら、お互いの顔を見つめ合った2人だったが・・・・・・

「しゅ、秀作?!」
「り、利吉さん・・・・・?!」

「「何で、私が(僕が)目の前にいるんだ(です)!?」」

2人の台詞が見事に重なり、辺りに響いた―――――



******



「つまり、倒れた拍子に中身が入れ替わったと・・・そういうことかな?」

困惑したような土井の台詞に、2人は頷いた。
隣で黙って聞いていた伝蔵は、深いため息をつく。

「しかし・・・にわかに信じがたい話ですね?」

伝蔵に同意を求めながら、土井は2人の姿をまじまじと見つめる。

背筋をピンと伸ばして正座し、憮然とした表情でこちらを見つめる秀作と、
オロオロそわそわと落ち着かない様子で、助けを求める子犬のような瞳を向ける利吉。

・・・・・はっきり言って、凄い違和感である。



土井は、二人を見比べながら、首を傾げた。

「どうしてこんなふうになったんだろうなぁ?」

それはこっちが聞きたい・・・そう、利吉は思った。
本当にただ、落ちてきた秀作を受け止めて、体勢が悪くてコケただけなのだ。
確かにお互いの額がぶつかってしまったが・・・・・・
そんなもので入れ替わっていたら、忍たま達など日常茶飯事的に入れ替わっている事だろう。
記憶を忘れてしまうほうが、よっぽど現実的だ。

チラリと隣に視線をやると、不安そうな自分の顔。
秀作の顔でやると『抱きしめたくなるほど可愛い』表情なのだが、それが自分の顔となると・・・

思わず、情けなさに涙しそうになる利吉だった。



「とにかく、新野先生には、とりあえず様子を見るしかないと言われたのだろう?」

ならば、とりあえずこのままでここに留まり、もとに戻る方法を探すしかあるまい?
黙っていた伝蔵は、やっとそう口を開いた。

「はい・・・」
さすがに父親にはバツの悪い表情で答える秀作(中身・利吉)
「すみません・・・・・・・」
どうしたらいいのか分からず、とりあえず謝る利吉(中身・秀作)

そんな二人に、伝蔵はフッと笑って、2人を落ち着かせるよう穏やかに声をかける。

「なぁに、すぐに戻れるだろう。そう気を落とすな!」

な、利吉?
ポンと軽く息子の肩を叩く。

「・・・・・僕、秀作なんですけど・・・・・」
「あ」

・・・どうやら、動揺しているのは、父親もらしい。



「「「・・・・・・・・・・」」」



気まずい雰囲気の中、これからの騒動を思いつつ、土井はそっとため息をついたのだった。



あとがき

始めてしまいました、よくあるネタの連載!!(笑)
内容は、アホっぽいものになることでしょう・・・(オイ)
一話分が短くて、軽いお話を書いてみたかったんです〜
不定期で、ちまちま更新していきたいと思います・・・・。

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