「え?」 利吉の言葉に、秀作は泣くのも止めて、ぱちくりと目を瞬きさせた。
「君はわかってないね・・・私の君への気持ちは、そんなに軽いものではないよ?」 悪戯っぽく笑うと、秀作はやっと笑顔を見せた。 『良かった・・・・・』
本当に秀作の涙に弱い利吉は、ホッと胸を撫で下ろした。
だが・・・・・入れ替わったことで忘れていたが、かなり危険な状況だったのを思い出す。
「ただし!!」 急にいつものように叱咤され、秀作はガバリと起き上がると、正座した。
「あの時私が通りかからなかったらどうなっていたと思ってるんだ?!もう少し気をつけなさい」
チラリと彼の顔を窺うと、叱られてシュンとしながらも上目づかいでこちらを見てくる。 思わず笑いがこみ上げた。
「ククッ・・・・」
急に笑い出した利吉に、秀作は一瞬きょとんとして、 「笑う事ないじゃないですか!!」
僕、真面目に反省してるのに!!そう、口を尖らす。 確かに、そこに居るのは『彼だ』と改めて実感した―――――
そうだ、たとえ姿が違ってしまっていても、
自分の顔だからといって、目を逸らしていては先に進めない。 ・・・・・何より、ギスギスとした距離をあけたまま、秀作と過ごすのはごめんだ。
「秀作、すまない・・・・・」 抱きしめるのも、躊躇してしまうだろ?
顔を彼の耳元に寄せて、そう囁くと、秀作はカーッと真っ赤になった。
『こんな顔すると、私もなかなか可愛いじゃないか? 想像して、また可笑しさがこみ上げる。
「確かに自分の顔だと・・・・・その・・・僕も、甘え辛い・・・ですね///」 素直に目を瞑る彼を確認し、自分も瞳を閉じて、 そして彼を抱きしめた――――
ピクリと彼は体を揺らしたものの、素直に体を預けて寄越す。 「ホラ、こうして瞳を閉じて抱きしめあえば、良いだろう?」
私は君を抱きしめて、君は私を抱きしめている 「はい・・・そうですね」 彼の声色に、嬉しそうな響きが混ざる。
「利吉さん、本当に、ごめんなさい」 腕の中で、謝罪を繰り返す彼に、利吉は抱きしめる腕に力を込めた。
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あとがき
入れ替わってさえいなければ、もっと『あまあまラブラブ砂吐き展開』になるとこなのにな・・・
書き始めてから、『この小説ってラブラブしずらいストーリーだわ!!』と、
改めて、気が付きました・・・・・・(アホです)
いや、それではやる気が起きない!!!(結局それだけが書きたいらしい・笑)
という訳で・・・力技を使って、少しラブラブな展開に持ち込みました(笑)