「兄さん!大ニュースだよ!」
ここは東方司令部の食堂。 「どうした、アル?珍しいな…」
慌てたように珍しく大声を出すアルフォンスに、エドワードは首を傾げた。 「いや、まて…!前にも似たような事があった気がする!?」
しかも、その後色々大変な目にあった気がするっ!
「前から探してたハウゼンの『生命の書』を持っている人の居場所がわかったよ!」 それは、以前から探していた本。稀代の錬金術師と賞賛された人物が書いたとされる本で…多大なる蔵書を抱えるプライス伯爵邸にも無かったものだ。
「すげぇじゃん!どこにあるんだ?」
どういう経緯かは分からないが、ハウゼン本人から託されたものらしい。
「さっき連絡とってみたら、会ってくれるって。ここからなら遠くないし、すぐに行こうよ!」 腑に落ちない顔で見つめる弟の視線を受け流して、エドは立ち上がった――
予想外の申し出に慌てる。ハッキリいって、芝居など苦手だ。
「オレ、そういうのはちょっと…台詞だって急には覚えられねぇよ」
何でそんなにノリノリなんだよ?
「それはいいわ!では、弟さんには声の方で、お兄さんにはソフィア先生のやるはずだった役をやってもらいましょう」 ギクリとエドは体を強張らせた。ソフィア先生ってことは、まさか… 「まさか、女の役じゃねーよな…?」
いや、劇団とかじゃなく、施設の劇だし。女でもお爺さんの役とかやってたかもしれないけど。…そう思いつつも、嫌な予感がして聞いてみた。 「ソフィア先生は、町でも評判の美人なんですよ。だから、子供達だけでなく町の若者が沢山見に来てくれたりするんです。今回は子供達だけでなく、見学者の皆さんもガッカリさせてしまうと思っていたんですが…あなた、エドワードさんとおっしゃったかしら?その見事な金髪、蜂蜜のような金の瞳!あなたなら、立派にソフィア先生の代役が務まりますわ!」 そう言って、副院長はにっこりと笑った。
エドは、すべてを言い終える前に、絶句した。女役ってだけでも嫌だというのに。 『よりにもよって、それ?』 …思わず、眩暈がした―――
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書き下ろし『物語のように愛を囁いて』の一部抜粋です。
女装エド、再びv(笑)