「う…ん」
眩しい光に目が覚めて、エドは身じろぐ。
腕を伸ばし、確かめるように隣をペタペタと触って…ガバリと体を起こした。自分が触ったその場所に、すでに人影はない。
「やべっ…寝過ごした!」
慌ててベッドから抜け出すと、部屋を出て階段を駆け下りる。
キッチンを覗くと、見慣れた後姿―――視線を動かしてその手元を見つめて、ホッと胸を撫で下ろした。
安堵と共に、声を掛ける。
「おはよ」
「ああ…起きたかい、エディ」
ミネラルウォーターを手に振り返ったロイは、エドを見て蕩けるように微笑む。
「ゆっくり寝ていていいのに」
「でも、ロイは出勤だろ?朝飯食べる時間、まだある?」
すぐ支度するから―――腕まくりしつつそう言うと、ロイは申し訳無さそうな顔をして言った。
「それは大丈夫だが…君、起きたばかりだろう?」
まだ眠いだろう?気を使わなくてもいいのだよ。
そう気遣うロイに、首を振ってみせる。
「へーき。…大体オレ、本当は朝に強いんだぜ?誰かさんがの所為で、毎日のように寝坊するハメになってるけどな?」
嫌味と共にチロリと睨んでみるが、ロイはそこには悪びれもせず、笑った。
「すまないと思っているよ」
「嘘つけ、顔が笑ってる!……卵、どうする?」
彼の謝罪を切って捨てながらも、この件に関しては言っても無駄なのを結婚後思い知っているのでそれ以上は言わず、パジャマのままエプロンをつけてリクエストを聞いた。
「サニーサイドアップ」
「了解」
返事をすると、エドワードは手早く調理し始めた。