ちゅっ、と軽く口付けると、今度こそ殴られた。
頭を擦っているうちに、腕の下から逃げられて、またシーツに蓑虫のように包まってしまう。
なかなかでてこないので、シーツ越しに頭を撫でて、朝の挨拶を言ってみるが、反応なし。
そのままウンともスンとも言わないエドに、さすがにからかい過ぎたかと反省する。

「エドワード、そろそろ機嫌をなおしてくれないか?」

今度は本当に何もしないから、そこからでてきておくれ?
なるべく優しい声で言ってみるが、出てくる気配はない。
変わりに、くぐもった声が聞こえてきた。

「はら、へった・・・・・」
「?・・・ああ!!わかった。すぐに朝食を用意しよう」

ベットから下りて、床に散らばっていたバスローブを拾い上げて身につける。

「・・・大通りにあるパン屋のクロワッサンとバターロールが食べたい」
「いいよ。買って来よう」
「・・・・ジャムは苺じゃねーと、食わないからな!」
「ああ、あの店の近くに美味しいのを売ってる所がある。それも用意するから」
「・・・玉子は半熟!ベーコンはちゃんとカリカリにしないと許さないからな!!」
「はいはい。・・・・・サラダとフルーツもちゃんとつけるから」

これで許してやる・・・・とでも言うように、いつもは言わない我侭を言うエドに、
ロイは幸せそうに微笑んだ。



******



ロイが部屋を出て行ってから、エドはやっともぞもぞとシーツから顔だけ出した。

『こんなもんで許してやるなんて、オレも甘いよな』

でも、彼に触れたかったのは自分も同じだから、アイツだけを責めるわけにもいかない。
しかも、やっぱり自分にも責任がある気が・・・・・する///
だが、いきなりここまでの仲になるつもりでもなかったので、やっぱり騙された様な?
むうっ、と頬を膨らませる。

やっぱ、足りない!!あんな程度の我侭じゃ。
もっともっといっぱい我侭言って、困らせてやる!!
昼食はスッゲー豪華なもの頼みまくって、おやつはあのショコラケーキ丸ごと!!
そして、この前は見せてくれなかったあの資料と、ずっと探してた文献も用意させて。

ロイへの要求を考え出したら、なんだか凄く楽しくなってきて・・・・
エドはごろりと仰向けになって、クスクス一人で笑った。

まずは、あの男が一生懸命用意してくれた、凄くおいしいだろう朝食を
ものすごく、マズそうな顔で食ってやろう
それから、さっき考えた我侭を要求して・・・

そこまで考えて、ふあっ〜っと、一つ生あくび。

とりあえず、アイツが朝食が出来たと呼びにくるまで、もう一眠り。
たまにはこんな風に時間を気にせず・・・
朝のやわらかな日差しの中で、惰眠を貪るのも良いかもしれない。

―――朝食の匂いで目覚めるなんて、久しぶりだなと、そう思いながら――――



『しんじらんない!!・おまけ』・・・終わり



報復どころか、ますます大佐が幸せになりそうな・・・・(笑)
まぁ、ラブラブだから、ねぇ。・・・・・仕方ない?



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