「フュリー曹長」
「はい、ハボック少尉」
「それ・・・・・なんだ?また拾ってきたのか?」
「・・・拾ってきただなんて・・・・・犬や猫じゃないんですから」
そう言って、フュリーは自分の足にしがみ付く小さい影を見つめた。
フェリー曹長が今回拾ってきたもの・・・・・それは、小さな女の子だった。
『王子様とお姫様』
ホークアイが出張の為、ブラックハヤテ号の世話を頼まれたフュリー。
休憩時間、犬の様子を見に裏庭に行ったのだが、犬の近くで泣いている小さい影を見つけた。
近づいてみれば女の子。
泣いてる彼女を、心配そうにブラックハヤテ号が見つめている。
「君、どうしたの?」
近づき、しゃがみ込んで目線を合わせる。
突然かけられた声に、ビクッと震えて顔を上げた少女だったが・・・・
優しそうに微笑むフュリーに警戒を解いたようだ。
「パパがいなくなっちゃったの・・・」
ひっくひっくとシャクリをあげながら、少女は話す。
「お名前、言えるかな?」
優しく問い掛けるフュリーに、少女は小さな声で「ルイ―ズ」と答えた。
「ルイ―ズちゃんか、素敵な名前だね?」
そう誉めてあげると、ルイ―ズはやっとニッコリと笑った。
「あのね、パパがね、つけてくれたんだって!ひいおばあちゃんとおんなじなんだって!!」
「そっかぁ、ルイ―ズちゃんはパパが大好きなんだね?」
「うん!!きょうもね、パパとね、おでかけだったの!」
「いいね、一緒にお出かけだったんだ?」
「うん!・・・・・でもね、いなくなっちゃったの・・・・」
「どこでパパとはぐれちゃったか分かるかな?」
「わかんない・・・・・」
「お外ではぐれたの?それとも・・・・」
フュリーは司令部の建物を指差した。
「ここの中だったのかなぁ?」
「ルイ―ズ、そこからでてきたの」
ルイ―ズの指差した先には、裏口の扉があった。
「ルイ―ズのパパもね、おにいちゃんとおんなじふく、きてるのよ?」
「軍服?そっかぁ、じゃあここの関係者なんだね・・・・」
それなら、すぐにこの子の親を探してあげられるだろう・・・・
フュリーはそう思いながら、少女に腕を伸ばした。
「お兄ちゃんが一緒に探してあげるから、行こう?」
そう優しく言うと、ルイ―ズこくんと頷いた。
フュリーは彼女を抱き上げると、司令部の中に入っていった。
******
「で、それがこの子と言う訳か?」
司令室の椅子に座ったまま、ロイはフュリーに抱かれて眠る小さな女の子を見つめた。
年は3・4歳くらいであろうか?サラリとした艶のある黒髪を、白いリボンで2つに結っている。
ハボック・ブレダ・ファルマン・・・・いつもの面々も、興味深げにフュリーを取り囲む。
「はい。ちゃんと父親の名前も言えたので、何処の子かはわかったんですが、すれ違いで・・・」
「すれ違い?」
「この子が迷子になってから、結構時間がたっていたみたいなんです」
子供がいなくなったことに気付いた父親は、司令部中を捜したが見つからず、
もしや、既に外に出て行ってしまったのかと、青くなった。
フュリーがルイーズを連れて行ったときには、受付に『子供を見つけたら頼む』と言い置いて、
外に探しに出て行ってしまった後だった。
「今、呼び戻しに行ってもらってるんですけど、その間ここに置いてもいいですか?」
「女性職員に頼めなかったのかね?」
「眠ってしまったんですけど・・・・離してくれなくて」
見れば、少女はフュリーに抱っこされたまま眠っていたが、軍服をきっちり握っている。
なるほど、と納得して許可を与えたところで、ハボックがフュリーに尋ねた。
「ところで、誰の子だったんだー?」
「ああ、すみません、肝心なことを忘れてました」
フュリーが答える前に、ロイが口を開く。
「フランツ・リバーだろう?」
ロイの言葉に、フュリーが目を丸くする。
「!?なぜ分かるんですか?ルイーズちゃんと面識が?」
「いや、母親とそっくりだ」
即答するロイに、ハボックが恐々聞いてみる。
「・・・・・なんで母親知ってるんですか?」
「その子が生まれる前だが・・・一度町でフランツに会ってな。そのときに奥方を紹介された」
「よく一回あったきりなのに、覚えてますね」
感心したように、ブレダが呟くと、ロイは笑みを作って答えた。
「美人でな。結構好みだったんだ」
「「「「・・・・・・・」」」」
『自分達が結婚する時は大佐に妻を紹介するのはやめよう』・・・そう心に誓う面々だった。
その時、司令室の電話が鳴る。
ファルマンが受けてから、フュリーの方に振り向いた。
「フュリー曹長、事務室で大至急来て欲しいそうだ」
「え、リバー准尉、戻られたんですか?」
「いや、電話が壊れたらしい」
「あ、そうだ!!調子悪いから見てくれって言われていたんだった!でも、どうしよう・・・」
フュリーは困ったように、ルイーズを見つめた。
「仕方ない。オレが見ててやるよ」
「すみません、じゃあ・・・・」
ブレダが差し出した腕に、そっと少女を渡そうとしたフュリーだったが・・・・
「ん・・・・うん?」
身じろぎをして、ルイーズは起きてしまった。
「ふぇ・・・・」
周りを見回して、泣き出しそうになってしまったルイーズを、フュリーが覗き込む。
「起きた?ルイーズちゃん?」
「フュリーおにいちゃん?」
「あのね、お兄ちゃんお仕事に行かなきゃなんだ・・・・・・今度はこっちのお兄ちゃんと遊んでてくれるかな?」
そう言ってブレダの方を挿すと、ルイーズは首を回してその先を見つめた。
「おいで、一緒に遊ぼう?」
ブレダはなるべく優しい声で話し掛けるが、少女はイヤイヤといった感じで首を振り、涙ぐむ。
「ブレダ、顔が怖いんじゃないか?」
「傷つくなぁ(涙)」
ハボックの野次に、ブレダはガックリと肩を落とす。
皆でひとしきり笑った後、ハボックは面白そうにルイーズの顔を覗き込んだ。
「んじゃ、お嬢さんの指名制にすっか。ルイーズちゃん、この中で誰に遊んで欲しい?」
ハボックの飄々とした雰囲気のせいか、先ほど皆で大笑いしたせいか?
少女は、緊張が解けたように、キョトンと目をまばたきさせた。
言われた通り、司令室をぐるっと見回し、そして、小さな指で一点を指差す。
「あのひとがいい!!」
「!!」
その指の先は、しっかりとロイを差していた。
ロイは指名されて、面食らったような顔をしている。
フュリーは慌てたように、ルイーズの顔を覗き込んだ。
司令官に子守りなどさせるわけには行かないし、それを知ったらフランツが青くなるだろう。
「あの人は駄目だよ?」
「なんで?」
「えっとね・・・・・」
どう説明しようかと思っていると、ハボックが再びルイーズを覗き込んだ。
「なぁ、何であの人がいいんだ?」
その質問に、ルイーズはやっとニッコリと笑った。
「だって、おうじさまみたいにかっこいい!!」
「ほぉ・・・」
「「「「・・・・・・」」」」
「なかなか、お目が高いね?お嬢さん?」
気を良くしたロイは、立ち上がってルイーズの側に行き、抱き上げる。
ははは、と爽やかに笑うロイの後で、他の面々はうな垂れていた。
「大佐って、範囲広いんですね・・・・・」
「年の割には童顔だからか?」
「さすがというか、なんというか」
「あの子の将来が心配だよ・・・」
4人揃って、深いため息を付いた時、勢いよく司令室のドアが開いた。
「ちわ〜」
「こんにちは、失礼します!」
ノックもせずに、我が物顔でズカズカと室内に進む兄と
礼儀正しく挨拶をしてから、その後に続く弟
・・・・入ってきたのは、エルリック兄弟だった。
「鋼の?」
「よぉ、大佐。久しぶり!元気・・・・・」
エドは、そこで不自然に言葉を切った。
そして、まじまじとロイとその腕の中にいるルイーズをみつめた。
その後、なにやら冷ややかな視線で、言葉を続けた。
「・・・・・だったみたいだな、すごく?」
「なんだ?」
エドワードの態度に、ロイは顔を顰める。
「隠し子作るくらい、元気だったみたいだなぁ?」
「なっ・・・!?」
「大佐の子にしちゃあ、かわいいじゃん。すごく」
そう言うと、エドワードはロイの側まで進んだ。
そして、彼の腕の中の少女に、ロイには見せたことのないようなとびきりの笑顔で微笑む。
ルイーズはきょとんとした目で、ロイとエドのやり取り見ていたのだが、
エドに微笑みかけられて、彼女は嬉しそうに、ニッコリと笑顔を返した。
そんな少女の頭を、エドは優しく撫でてやってから、方向転換して他の面々の方へ歩いていく。
「鋼の」
「よぉ、皆元気だったかー?」
「違うぞ、鋼の!!」
「今回の旅もスカでさー」
「誤解だ!!」
言い訳しようとするロイを、見事に無視して、エドは他の面々と楽しく談笑する。
そんな様子を後から眺め、アルフォンスはため息をついた。
その顔には『兄さんって、いじめっ子体質だよね・・・』とでも書いてあるようだ。
気の毒そうに、ロイの方を見つめている。
「フュリー、頼む!」
ロイはフュリーに少女を押し付けるようにして渡し、エドの側まで進む。
「えっ、でも・・・僕はこれから!!」
仕事なんですけど?焦ったようにそう言うフュリーの言葉は聞こえないようだ。
ロイはエドの横に立つと、両肩に手をかけ、自分の方に向かせる。
「なんだよ・・・」
「・・・・・人を無視するんじゃない」
ムッとしたような顔のエドと、真剣な面持ちのロイ。
部下たちはそれを見て、やれやれといった表情でその場から散る。
内心は『ちくしょー、彼女いない俺たちの前での痴話げんかは止めてくれ!!』といった感じだろう。
「私の子じゃない」
「でも、黒髪だぜ?」
「黒髪の子供は全部私の子だとでも言うのか?」
「とりあえず、この近辺で黒髪の3歳以下の子供は『大佐の子かな?』と思いながら眺めてるけど?」
「・・・・鋼の・・・・・・」
エドの肩に両手をのせたまま、ガックリと肩を落とすロイ。
ヘコタレそうになりながらも、何とか気力で頭を持ち上げて、更に言い募ろうとした時、
ノックの音とともに、男が一人焦ったように入室してきた。
「失礼します!フランツ・リバー准尉であります!ここに自分の娘がお邪魔していると・・・」
敬礼しながら、そう言ったフランツをルイーズが振り返る。
「パパ!!」
「ルー!!どこに行ってたんだ!?」
フュリーの腕から、飛び降りるようにしてルイーズは、父親の下に掛けより、抱きつく。
それをきつく抱きしめてから、フランツはロイの方をすまなそうに見あげた。
「大佐、お騒がせして大変申し訳ありませんでした」
「ああ・・・だが、いいタイミングだった、准尉」
「はぁ・・・?」
そう言いながらチラリとエドを見るロイに、エドは舌を出してみせる。
フランツは訳がわからず、ただ恐縮していた。
******
「本当にご迷惑をお掛けして・・・・・」
大佐に促され、その辺の椅子を集めてとりあえず皆腰を下した。
やっと落ち着いたフランツもルイーズを腕に抱いたまま座り、事の顛末を話し始める。
身重の妻が急に倒れ、昨夜病院に運ばれた。
幸い、妻もおなかの子も大事には至らなかったが、二週間ほどの入院が必要だと言う。
ホッとしたものの、子供の面倒を見る者がいなくなってしまった。
急いで田舎の両親に連絡をとり、来てもらう事になったのだが、着くのは今夜。
それで、急きょ本日分の休暇願いを出したのだが、今日中に処理しなければいけない書類があった。
それだけでも提出しなければ・・・と、子連れで出勤したと言う。
「リバー准尉は、仕事熱心だからな」
文官であるリバーは真面目で物腰の柔らかい男だ。
そう言えば、フュリーとどことなく重なるものがある。
娘がフュリーに懐いたのもその辺かもしれない。
ロイがそう思いながら、親子を眺めると、突然ルイーズが父親に話し掛けた。
「ね、パパ!パパっておしろでおしごとしてたんだね!」
「お城??」
首を傾げるフランツに、ファルマンが言う。
「あれじゃないですか?大きい建物だし、軍旗とか上げてるから?」
「お城って言うには・・・華やかさにかけるけどな?」
とは、ブレダの弁。
「あ、そういわれればそうかもしれないですねー、お城に見えたのか、ルー?」
指摘され、なるほど・・・と、娘の顔を覗き込む。
「だってね、王子様もいたよ?」
「王子・・・?」
「大佐の事らしいっすよ?」
「ああ!大佐は美形でいらっしゃるから・・・・・」
ハボックの答えに、人の良さそうなフランツは素直に頷くが、横から不満げな声があがる。
「え〜〜〜〜〜〜〜〜?!」
「鋼の、なんだねその不満そうな声は?」
「だって、こんなエセくさい笑顔の王子なんて・・・なんかヤダ」
「君ね・・・・・・」
「アンタは魔王とかの方が似合ってるよ?髪も目も『腹』も黒いから」
エドの言葉に、ハボックはぶぶっと噴出して笑う。
ロイはそれを横目で睨むと、エドに向かって、ニッコリと(エセくさい)笑顔を向ける。
「そうだな、鋼の。君の腹より黒いことは認めるよ」
そして、ニヤリと笑った。
「・・・・・なにせ、君の腹は白くて―――滑らかだものな?」
「・・・ばっ!!!」
途端、真っ赤になって『エロ大佐』とか『ショタコンオヤジ』などと叫びそうになったエドだったが。
「・・・・・滑らか??」
不思議そうにもらしたフランツの言葉を聞いて、それを飲み込んだ。
振り向くと、マジマジと自分を見つめるフランツ親子。
そこで、はっと気付いた。
事情を知っているいつもの面々だけならともかく、今はフランツ親子がいる。
ここで、不用意な発言をすれば、ロイと自分との関係を知られてしまうだろう。
怒りに任せて立ち上がってしまっていたエドだったが、しぶしぶ席に座りなおした。
座ってから、ギロリとロイを睨みあげる。
その目は『覚えてろよ?!』と言っていた。
そんなエドを横目で見ながらも、ロイは意に介さないようにルイーズの方を見て微笑んだ。
きょとんとしていたルイーズだったが、ロイに笑いかけられると、また話の続きをしだす。
「あとね、おひめさまもいたもん。やっぱりおしろでしょ?」
「「「「お姫様?!」」」」
王子様発言は先ほど聞いていたので、さほど驚かなかった軍部の面々だが、この発言には目を丸くする。
ここにいるのは男ばかり。・・・・・・それとも、迷っている間に見た女性職員のことだろうか?
「ははは、お目が高いお嬢さんが認めた『お姫様』はどなたかな?」
面白そうに、自分を見つめるロイに、ルイーズは迷わず一点を指差した。
「きんいろのおひめさま!!」
「なっ・・・・・・?!」
その指は、まっすぐにエドを指差している。
エドは、二の句が次げず、口をパクパクさせて、その後盛大に真っ赤になって、黙り込んだ。
額には怒りマークが幾つも浮かんでいるが、さすがに子供相手に怒るわけにも行かないらしい。
彼にはめずらしく、必死に耐えているようだ。肩が震えている。
「ル、ルー!!エドワードさんは男の人だよ?お姫様じゃないよ?」
慌てて、フランツは子供に諭すが、ルイーズはぷっと頬を膨らませた。
「ちがんもん、ぜったいおひめさまだもん!!」
「ル、ルー??」
困惑する父親の膝から、ひょいと飛び降りると、ルイーズはタタッとロイの元に駆け寄る。
そして、彼の膝の上に小さい両手を乗せた。
「ね、おうじさま!このひと、おうじさまのおひめさまだよね?」
真剣な表情でそう言う少女に、ロイは目を見開いた。
そして、優しく微笑むと、その頭を撫でてやる。
「そうだよ。よくわかったね?」
「大佐っ!!!」
ロイの台詞に今度こそ怒鳴りつけたエドだったが、ロイは完全無視である。
「うん!ルイーズね、ちゃんとわかったよ?」
「ははは、君は本当に目が高いね?ルイーズ嬢」
先が楽しみだね、フランツ?
上機嫌でそう言われた彼は、どう反応してよいかわからず、オロオロした後、
「はっ・・・・・光栄です・・・」
そう、なんとか返したのだった。
その後、再度礼を言ってフランツ親子が退室した後。
上機嫌な上司と、ブチ切れ寸前の鋼の錬金術師を残し、他の面々は逃げるように退室した。
廊下に出ると、側近達は口々に好き勝手なことを言いながら、歩いていく。
巻き込まれたくなくて、一緒に出てきたアルフォンスも一緒だ。
「しかし、なんでわかったんだろうなぁ?」
「偶然じゃないですか?」
「でも、はっきり『大佐の』ってニュアンスでしたけど・・・」
「女の感?」
「あんな小さいのに・・・・・女の人ってすごいんだなぁ」
そんなことをコソコソと話しながら、それぞれ散っていった。
残されたロイは、依然フルフルと震えるエドにニッコリと笑いかけた。
「報告書をもってきたんだろう?執務室に移動しよう」
そして、優雅にエドに向かって手を差し出した。
「お手をどうぞ?・・・・・姫?」
「・・・てんめぇえええええ!!!!」
その直後、司令室から爆発音のような大きな音が聞こえ、しばらく続いたという。
******
「と、いうわけなんだ。・・・・まったく参ったよ・・・・・」
そう言うと、フランツはぐったりした様子でベットサイドに突っ伏した。
夜、やっと到着した両親にルイーズを預けて、フランツは妻の病室にきていた。
「大変だったわね・・・」
苦笑しつつ、妻は夫を慰める。
「しかし、ルーの奴、何であんなこといったんだろうなぁ?」
頑として譲らなかった娘の顔を思い出す。
「確かにエドワードさんは可愛らしい顔をしているから、女の子に見えなくもないけど・・・・・
仕草や言葉はまるっきり男の子なのにな?」
ロイとエドの関係を知らないフランツは、納得いかない感じで首を傾げる。
しばらく、黙っていたフランツの妻は、ふと思い出したように口を開いた。
「ねぇ、あなた。マスタング大佐って、黒髪黒目だったかしら?」
「あ?ああそうだが・・・」
それがどうか?と言う夫に、妻は言葉を続けた。
「じゃあ、そのエドワードさんって、金髪金目じゃないかしら?」
「!・・・何でわかるんだい?!」
夫の答えを聞いて、妻は微笑んだ。
「それでわかったわ・・・・・・これを見て?」
彼女の手には一冊の絵本。ルイ―ズが置いていった物だ。
「この絵本・・・最近、ルーの一番のお気に入りなの」
フランツが、絵本を手にとり、中を開いてみると―――――
そこには寄り添って笑う、黒髪黒目の王子さまと、金髪金目お姫様の挿絵があった。
「なるほど・・・!」
やっと合点が行って、フランツはポンと手を叩く。
明日、エドワードさんがいたら、これを見せて謝るよ。
そう言って、フランツは笑ったのだった。
『王子様とお姫様』・・・終わり
ルイーズの『王子様みたいにかっこいい!!』発言だけが書きたくて描きました!
だって、やっぱり大佐はカッコイイですよvvv無能じゃありません!!(笑)
・・・この絵本、後でこっそりロイが買ってくるかもしれないですね。で、執務室の本棚に並べとくの!!(爆笑)
・・・この日の喧嘩は派手だったことでしょう・・・・・(なにせ、中尉がいないから)