拍手ログB 『天使な小悪魔』・・・1 


「結果報告を楽しみにしていたまえ。・・・若すぎる錬金術師よ」

国家錬金術師の実技試験が終わった後、
向けた槍を目にも留まらぬ速さでなぎ払って見せた大総統は、不敵な笑みでそう言いながら踵を返した。
だが、その歩はすぐに止められ、もう一度少年の方を振り返った。

「そういえば・・・・・年若い君が、何故軍の狗になろうと思ったのだね?
確かに得るものも大きいが、リスクもまた然り・・・・・・だろうに?」
「欲しいものがあるんだよ」
「ほう?」

戯れに聞いた風な男は、少年の答えににわかに興味をもったようだった。
やり取りを見ていたロイは顔を顰めた。
『よけいなことを・・・・・・まぁ、あの子も言って良い事と悪い事位は分かるだろうが』
頭のいい少年だから、人体練成の事を自ら漏らすことなどないだろうとは思いつつ、
まだ年端の行かぬ子供なのも事実なので、ロイは緊張の面持ちで少年を見つめた。

「それはなんだね?」
「アレ。」

少年は一点を指し示し、その場にいた全員がその先を凝視した。
だが、ロイだけは目を見開き、微動だに出来なかった。
何故なら――――――その小さい指先は、真っ直ぐに自分に向けられていたからだ。
振り向いた者達も戸惑いの表情で、まじまじとロイを見つめている。
だが、黒髪の大総統だけは、面白そうに口の端を持ち上げて、少年に声をかけた。

「・・・・・マスタング大佐がほしいのかね?」
「スカウトにきたとき、一目惚れしたんだーvけど、子供じゃ相手にされないの目に見えてるし?
とりあえず同じ国家錬金術師になってからアタックしようかと」
「なるほど」

悪戯っぽく、笑う少年に。
楽しそうに頷く大総統。
ざわめく外野。

そんな中、黒髪の大佐だけは顔色を無くしていた。





反応を窺いつつ拍手にUPした『小悪魔なエド』。
皆様の声を頂いて、連載に昇格しましたv


next     MEMO帳へ