慰霊碑の前に、彼は佇んでいた。
一人で、祈りを唱えるでもなく・・・黙って、碑を見つめて。
ただ、静寂な時間だけが過ぎていく。
だが―――――


「うっぎゃ〜〜〜〜〜!!」
「!?」


その静寂は、突然破られた。




・ 美しさは・・・ ・ ――1――




彼の前に転がり出てきた子供にカカシは瞳を見開いて・・・・・そして、ため息をつく。
転がり出てきたのは、最近上忍師として受け持ったばかりの自分の部下だった。


「なーにやってんのよ、君達」


転がり出てきたのは金色頭一人だが。
すぐ側に、ピンク頭と黒頭の気配がある。
カカシが声を掛けてほどなく、二人はがさがさと藪の中から現れた。

「ナルトー!アンタねえっ・・・・・!あ、す・・・すみません」

サクラが鬼の形相でナルトを怒鳴りつけてから、こちらを見上げて驚いたような顔をした。
次に消え入りそうな声で謝ってから、チラチラとこちらを見上げて顔を赤くした。
しかも、なんだかもじもじしている。


―――――なんだ?


訝しく思いながら、もう一度声をかけた。

「お前達、なんだかんだ言いながら、結構仲いいのね?せっかくの休みだって―のに、三人一緒でさ」

からかうようにそう言うと、三人揃ってぎょっとしたような顔をした。

・・・・・・・なんなのよ?
三人の食い入るような目つきに圧倒されて、一歩足を引きそうになった時―――
ナルトが恐る恐ると言った感じでこちらを指差した。

「・・・・・・・もしかして、カカシ先生?」
「なーによ。たった一日の休みの間に恩師の顔忘れたってーの?」

まぁ恩師つっても、ついこの前上忍師として会ったばっかりだけどさ。(笑)
つめたい奴らだねェ?と、傷ついたフリして悲しげに眉寄せてみせたら、サクラの悲鳴のような叫びが聞こえてきた。

「え〜〜〜!うっそ〜〜〜〜!しんじらんなーい!!」

なにそれ、一昔前のコギャルみたいよ?
サクラの叫びに首を傾げていると、サクラは更に興奮気味に叫んだ。


「カカシ先生ってば、超美形!!!」
「!!」


そこまで言われて、やっと気がついた。
慰霊碑の前で、カカシは額当てとマスクを外して素顔をさらしていたのだった。
キャーキャーと騒ぐサクラの声を聞きながら、カカシは口元に手を当てた。

『しくじった・・・・・』

めったにやらない失態に、カカシはカリカリと頭を掻いてため息をつく。
素顔はあまりさらしたくなくて、里の中でもほとんど口布や額当ては外さないのに。
――――今日は少々気が抜けていたらしい。
カカシは肩をおとしながら、マスクを戻してさっさと額当てを付けた。

「あ〜!!なんで付けるのよ〜」
「だってこうしてないと君達、先生だってわかってくんないんでしょー?」
「せっかくカッコ良かったのにぃ」

サクラは本当に残念そうに、ブーブー文句を言っている。
ホント・・・サスケの事といい、お前メンクイなのね。
んじゃサービス・・・と、ウインクしてやった。
(額当てをして片目しか出てないから、ウインクには見えないと思うけど)


「なに、サクラちゃん?サスケ君から俺にのりかえよーっての?」


先生、ロリコンじゃないんだけどな〜?それに、先生と生徒ってマズくない?
そう軽口を返すと、サクラはぎょっとした様に赤くなって飛び跳ねて、慌ててサスケにいい訳しだした。

「そ、そんなんじゃないです!!・・・さ、サスケ君!私はサスケ君一筋だからねっ!?」
「別にどうでもいい」
「そ、そんなぁ〜サスケくぅん・・・・・」

ガックリと肩を落とすサクラに、『サクラちゃん男の趣味ワリーってば』とか、余計なことを言って殴られるナルト。
このごろやっと見なれてきた賑やかな光景に、カカシはクックッと可笑しそうに笑った。






や、やっぱりまだ口調に慣れなくて・・・ム、難しい;
美形カカシと、それを見ちゃった子供達のドタバタが書きたかったんです(笑)


next    ナルト部屋へ