「お、おいおいエド。いくらなんでもコレが閣下の訳が・・・うわっっと!」
不用意にまたコレ扱いで指さしてしまったため、再び噛まれそうになり・・・
指を慌てて引っ込めながらハボックはそう言った。だが。
「少将・・・そのようですね」
クールな美貌の大総統付きの副官は、ため息をつきつつ銃を降ろした。
拍手ログG 『大総統閣下の愛犬』・・・2 
「は!?ホークアイ大佐まで、なにいってんスか?」
「うん、間違いない・・・・・ったく、次々と」
「いや、二人ともどう考えてもありえないですって!」
犬がロイであるのを決定したかのような話振りの二人に、焦ったようにハボックが割って入るが
リザはいつもどうりの冷静な態度で彼を見上げた。
「ハボック中佐」
「は、はい?」
「こう腕を広げてくれるかしら?」
訳もわからず、リザの言う通りに腕を広げて。
「そのままこちらきて――――少将に、こう」
「は・・・こうですか?」
言葉に誘導されて、エドの体を囲うように腕をまわしたハボックだったが。
腕がまわりきる前に、二人の体の間にビュッと、風のように何かが割り込んだ
「ガルルルッ!!」
「わわっ!?」
慌てて体を離したハボックは間に割りこんだものを見て――――目を見開いた。
エドを守るように彼の前に立ち、ギンギンにこちらを睨みつけているのは、あの黒い犬で。
「ワワワワンッ!」
犬はハボックにそう吼えついたかと思うと、右前足をスッと持ち上げた。
・・・・・その仕草はまるで、かの人がする『燃やすぞ、オラ!』のポーズで。
じっとそれを見つめた後、ハボックはその場でガックリと床に膝と手をついた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大総統、アンタって人は」
相変わらず、なんて人騒がせな人なんですか。
状況を認識してへこたれるハボックと、同じく状況確認して項垂れる側近達。
そんな彼らの嘆きを意にもかえした風もなく、ふんっと不遜な態度でそっぽを向いた犬だったが。
次に、何か見えない恐怖を感じたようにビクッと身を振るわせ、毛を逆毛だてて耳だけ後ろに動かした。
「ところで・・・・・なんでこんなアホなことになってんのか教えてもらいましょうか。閣下」
後ろから聞こえてきたのは、金色の少将の冷えた声だった。