「ちょっと待ーった!!」


ドアの辺りから響いた声に、紅とイルカが降り向くと――――
そこには、カカシが鬼の形相で立っていた。
(一歩後に、疲れきったアオバもいたが、カカシが手を離した途端、そそくさとその場を離れていった/笑)

「ちょっとちょっと、アンタらなんでこんなトコで手なんか握りあってんの!?」

怒りに震えながら、カカシはそう言い放った―――




・ あなたを愛する夢を見た ・ ――8――




つかつかとカカシは二人に近づき、片手で紅の手を、もう一方の手でイルカの手を掴むと、べりっと引き離す。

「あーら、カカシじゃない?何怖い顔してるの〜?」
「・・・イルカがカラまれてるって聞いてね、相手を捻り殺してやろかと思って飛んできたのよ。まさかそれがオマエだとは思わなかったけどさ。・・・なんのつもり?」

カカシの言葉に、先ほどまでイルカに絡んでいた者や、イルカに妬みの視線を投げかけていた者達は一様に顔色をなくして、固まる。
だが、直接言われた紅は、余裕の表情で笑って見せた。

「からむ?やーね、『友達』と話をしていただけでしょう?何が悪いの?」
「とも・・・だち・・・・?」
「そ、アタシ達お友達になったのよv」

勝ち誇ったようにふふんと笑った後、「ね?」とイルカに相槌を促す紅に、イルカも「はい!」と笑い返す。
ふるふると――――昨日のように拳を震えさせるカカシ。
が、彼が怒鳴り声を上げる前に、ドアの辺りからまた声が響いた。


「おう、イルカ!今夜飲みにいかんかー!」


豪快な笑い声と共に登場したのは――――ガイ。

「ちょ!なーに勝手に誘いかけてんのよ、ガイ!!俺に断りもなく!!!」
「ん?カカシ・・・今日もイルカにひっついているのか?まぁ、友達少ないお前の事だ、わからなくはないが。だが、あまりイルカに迷惑かけてはいかんぞ」
「・・・・・・お前に言われると、すっごいムカつくんだけど」
「仕方ないな、お前も入れてやるから一緒にこい」
「冗談でしょ!?誰がお前なんかと!俺はイルカと二人きりで・・・っ」
「あーもう!アンタ達、騒がないの!」

ピシャリと言い放ったのは紅。
振りかえった二人の顔を満足そうに眺めてから、イルカの横に進むと、その腕にスルリと自分の腕を絡めた。


「今日は私とイルカが友達になった記念の日なんだから、アタシとイルカが二人で飲みに行くに決まってんでしょ?」


ねぇ?と色気を滴らせながらイルカを見上げる紅に、イルカの顔がでれっと緩むのを見てカカシはまたピキリと額に怒りマークを浮かべる。
紅から引き剥がすようにもう一方の腕を引き、イルカの体を抱きこむように引き寄せた。

「ふざけんな!・・・ね、イルカ、俺と飲みにいこ?」
「あーら、私とよねぇ?」
「はっはっはっ、イルカは人気者だなぁ。ここは四人で飲みにいくと・・・・・」
「「アンタはだまってなさい!!」」」

二人一緒にガイにツッコんでから、イルカに迫った。

「ね、だれにするの?」
「カカシさん」

一瞬勝ち誇ったような表情が浮かんだカカシだったが。


「カカシさん・・・・・申し訳ありませんが。それはもちろん紅さんで!」


イルカはにっこり笑ってカカシの胸を押し返すと、そう言い切った。
あらん、と喜ぶ紅に、わなわなと震えるカカシ。

「もちろん、ってなによ!?アンタおかしいよ!!」
「おかしくないですよっ、男として正しい選択です!!」
「うわ、スケベ心満々!?いっとくけど、アンタの手に負える女じゃないよ!?」
「そんな大それたこと考えてません!・・・でも、憧れのマドンナだったんです。一緒に飲むくらいいいじゃないですか!?こんなチャンス逃がすなんて、男じゃないですよ!」
「イルカって意外とオトコなんだねぇ・・・って、ダメだよ、ダメ!!俺は許さないからねっ!!」
「なんだそれっ!?横暴!!・・・って言うか、元々アンタに許しもらわなきゃいけない事じゃないだろ!?」
「うわっ・・・そんな言い方ないでしょ!?酷いよ、イルカ。俺、泣きそうっ・・・!」
「はっ!俺は嘘泣きなんかにゃ騙されませんよっ!」

二人の言い合いを、周りは唖然と見つめ続けた。
あの『写輪眼のカカシ』に食って掛かっている・・・しかも、なんだか押している(汗)
・・・その光景は、見ている者達にとってはかなり衝撃的だった。
しかも、ガイは以前から友達で、紅までもが友達になりたがって―――――

「アイツ・・・・・・・・何者だ?」
「はぁ・・・アイツをよく知ってたつもりだったんですけど―――俺も、わからなくなりました」

さっきイルカを威嚇していた男が呆然とコハダに聞いて。
それに、これまた呆然とした様子でコハダがそう答えた。

「イルカのバカ〜〜〜!イケズ〜〜〜〜!!」
「ちょ、抱きつくなっ!・・・って、本当に泣くこたないでしょうが・・・・・」
「なんか、幼児並ねぇ」
「ハッハッハッ!まるで、雛鳥だな」

しがみ付いて離さないカカシに、イルカはため息をついて。
紅は呆れたように肩を竦めて、ガイはまた豪快に笑った。



そして――――その日から、『噂の男』だったイルカは『一目置かれる男』になった。



そのお陰で、とりあえずはやっかみや嫉妬という身の危険を回避できた。
―――だが。

「イルカ、イルカ〜〜〜〜v俺、今日午後からフリーなの。かまって♪」
「あーもう!アンタは暇でも、俺は仕事だって言ってんでしょう!離せっ!!」
「ん〜〜〜、イルカの匂いだ。落ち着く〜〜〜〜〜〜」
「って、こら、人の胸元に顔突っ込んで匂い嗅ぐなっ・・・っ、犬かっ!」

そのかわり・・・・・
なにやら身の危険を感じそうなほど、『熱い友情』を受けまくる羽目に陥っていた。






イルカ先生が嫌がらせされるのはいやなので、回避(苦笑)
次回から、二人の熱い友情物語(?)が始まります・・・(笑)


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