エドは自分の今の状況が良く理解できずに、頭を真っ白にして呆然と彼を見つめた。
今、この男はなんと言った?
たしか、確か・・・・・・

『プロポーズ』

とか、フザケタことを言ったような??
聞き違いかと思って、チョット間の抜けた声で問い返すと、
途端に、拗ねたように、激高した声色が返ってきた。

「だからっ!!君に結婚を申し込んだんだと言っている!!!」

また、脳内が真っ白になった。
『天国の母さん・・・・・・オレ、この人に言われている意味が、良くワカリマセン』

ただ、自分の喉からは、悲鳴のような絶叫が飛び出たようだった―――――



『約束』・・・・・・3



「な・・・・ななななななっ・・・・・・なん??」

絶叫の後に自分の口から出てきた言葉は『な』だけだった。
さっき怒鳴るように告白した男は、取り乱したオレの様子に、自分の方の動揺は収めようで。
先ほどより落ち着いた様子で、言葉を寄越した。

「・・・・・・『なんで』と言いたいのかね?―――プロポーズする意味は一つだろう?
君と結婚したいと思って申し込んだに決まっている」
「そ、そじゃ、なくて・・・・・なんで・・・・・・オレ??」

結婚。
それに伴う意味は色々とあると思う。
そのカップルによって・・・・・事情も。
普通は愛し合うもの同士が永遠の愛を誓いつつ、するものだろうが・・・・・
実際問題、家の事情・双方の利益・打算―――そんなものでする人もある。
この男が自分に何を求めて結婚など申し込んだのか、よく分からなかった――――

「なんで・・・・・か。それすら、わからないのか?」

沈んだ声が返ってくる。
その声色に、なんだか罪悪感が湧いて来るが、わからないものはわからないのだ。

確か、オレとコイツの関係は、『上司』と『部下』。
もっといえば、オレから見たら『恩人』になるかもしれない―――
だからと言って、事情や打算があったとしても、とりあえず『結婚』するような仲ではなかったような?
そこまで考えて、ハタ、と大事なことを思い出した。

「つーか、オレ達男同士じゃん?!け・・・ケッコン・・・なんて出来るわきゃねーだろ?!」
「大将・・・・・・知らないのか?」
「へ?」

ハボックの問いに問い返すと、ハボックとリザは顔を見合わせて――――リザが口を開いた。

「一週間ほど前に、同性結婚は認められたのよ?知らなかった?」
「え・・・・・」

そう言えば、新聞でみたような?
だが、自分には同性結婚どころか『結婚』自体今は無縁だと思っていたので、気にも留めなかった。

「一年ほど前から検討され始めたらしいんだけれど、この程大総統が正式にお認めになって。
それに伴って、男女とも16歳で婚姻できるようになったのよ。
・・・エド君、確か先週お誕生日がきて16歳になったのよね?出来るわよ、結婚?」
「うそぉ・・・・・」

リザの話に、また呆然。
そこで思い出した・・・・・・。
一年前・・・・・・大佐がオレにこの申し出をした時だ。
では、『同性同士でも結婚できるかもしれない』そう思った途端に自分を相手と定め、
申し込んだということなのだろうか?
唖然としつつ、エドはロイを再びマジマジと見つめた。
そして、疑問を口にする。

「だって・・・・・・・さ。オレ達・・・・・・ンな、関係だったか??」

そう口にした途端、ピリッと空気が震えたような気がした。



『約束・3』終わり・・・4に続く



どうやら地雷を踏んだ気配・・・・・(苦笑)


back      next     小説部屋へ